仕事・お金

会議で違う意見、その場で言う?会議後に個別で伝える?角を立てない伝え方

編集部ガイド状況に応じた考え方や提案を紹介します。編集部の整理は、正解を示すものではありません。

会議で自分と違う意見が出たとき、その会議で何かが決まるなら、判断に関わる意見はその場で伝えるのが基本です。一方で、特定の人のミスの指摘や、相手の面子・感情が絡みそうな話は、会議後に個別で伝えた方がうまくいきます。分かれ目は「意見の中身」と「その会議が何を決める場か」です。

RONTEN編集部の結論

迷ったら「判断に関わることはその場で、人に関わることは個別で」

  • その会議で決まることへの反対・リスク:その場で。決まったあとでは覆すことになる
  • 前提や数字の確認:その場で「確認させてください」と質問の形に
  • 特定の人のミス・面子が絡む話:会議後に本人へ個別に
  • 個別で伝えたら:決まる前に、本人に直接。結論が変わるなら全員に共有

投票結果ではなく、編集部の整理です。みんなの選択はRONTENの投票ページで確認できます。

日本のセミナールームで、ロの字に並べた机に参加者が座り、前方のスクリーンを見ながら会議をしている様子
日本のセミナールームでの会議。人数が多い場ほど、違う意見を口にするハードルは上がりやすい
Photo: Kskwikilabo / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0

会議で違う意見、その場で言う?会議後に個別で伝える?

その会議で決まることに関わる意見なら、その場で伝えるのが基本です。特定の人に向けた指摘や、細かい修正は会議後に個別で伝えましょう。会議は、同じ情報をもとに全員で判断するための場です。決まったあとに個別で反対すると、それは「意見」ではなく「決定を覆す相談」になり、関係者全員にやり直しの負担がかかります。

その会議で決まることへの反対や期限・予算・安全のリスク、前提の確認はその場で、特定の人のミスや面子・感情が絡む話は会議後に個別で、迷ったら判断に関わることはその場で人に関わることは個別で、という目安表
会議の違う意見、その場で言う?会議後に個別で伝える?意見の中身別の目安(RONTEN編集部の整理)

その場で伝えた方がいいのは、たとえば「この日程では検証が間に合わない」「予算の前提が変わっている」といった、決定の中身やリスクに関わる意見です。全員が知っておくべき情報なので、会議の外で一人にだけ伝えても意味が薄くなります。

反対に、資料の誤字や特定の人の段取りのミス、本人が人前で指摘されると気まずくなる話は、会議後に個別に伝える方が向いています。全員の時間を使う必要がなく、相手も落ち着いて受け止められるからです。報告や共有が中心で何も決めない会議なら、その場で議論を広げずに「後ほど相談させてください」と預けるのも一つの方法です。

「その場で」派と「会議後に個別」派、何が違う?

その場で派は「全員が同じ情報で決めること」を、個別派は「相手の立場と場の空気を守ること」を大事にしています。どちらも組織のためを思った行動ですが、人前で反論することを「健全な議論」と受け取るか、「相手に恥をかかせること」と受け取るかの感覚が違います。

名古屋市中区の小さな会議室。白い机を黄色い椅子が囲み、奥にホワイトボードとモニターがある
名古屋市中区の小さな会議室。少人数の会議でも、目上の人の案に反対するのは気をつかう
Photo: 円周率3パーセント / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0
RONTEN編集部の整理
その場で伝える 会議後に個別で伝える
大事にしていること 全員が同じ情報で判断できる 相手の面子と場の空気を守る
よくある考え 「あとから言うのは、会議の意味がない」 「人前で否定されたら、相手も引くに引けない」
気になる点 言い方次第で、相手を責めているように聞こえる 決まったあとだと手遅れ。「陰で言っている」と受け取られることも
ひと工夫 質問の形にする・代わりの案を添える 決まる前に、本人に直接伝える

文化庁の「国語に関する世論調査」(平成28年度、2017年2〜3月に全国の16歳以上を対象に個別面接で実施、有効回答2,015人)では、「人と意見が食い違っているときには、なるべく事を荒立てないで収めたい方だ」と答えた人が61.7%で、「納得がいくまで議論したい方だ」の24.9%を大きく上回りました(「場合による」は13.3%)。友人や同僚などと意見交換をするときに「ふだんの人間関係を優先し、自分の意見を主張しない方だ」と答えた人も58.6%いました。

つまり、会議で反論をためらうのは、気が弱いからではなく、多くの人が持っている「関係を壊したくない」という感覚の表れです。日本の職場には、会議の前に関係者へ個別に話を通しておく「根回し」という言葉もあります。ただ、会議の外で話がまとまりすぎると、会議が形だけになり、その場にいない人には決まった理由が見えなくなります。その場で言うか個別に言うかは、「関係」と「透明さ」のどちらを優先するかの選択でもあります。

その場で伝えるなら、角を立てにくい言い方は?

「人」ではなく「案」に向けて、理由と代わりの案をセットで短く伝えるのがコツです。「反対です」と切り出すより、「確認」や「追加の視点」として出す方が、相手は守りに入りにくくなります。

一点だけ確認させてください、方向性は賛成ですそのうえで気になる点があります、代わりの案をセットで出す、という言い方の例と、それは無理です・前にも言いましたよねという避けたい言い方
その場で違う意見を伝えるときの言い方の例(RONTEN編集部作成)

違う意見を言いやすいかどうかは、チームの成果にも関わります。Googleが社内のチームを調べた「Project Aristotle」では、効果的なチームに影響する因子の中で最も重要だったのが「心理的安全性」でした。これは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン氏が「対人関係においてリスクのある行動をしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義した概念です。Googleの調査では、「チーム内で異論を唱えることに不安を感じない」かどうかを尋ねる設問も使われています。

言う側にできる工夫は、まず賛成できる部分を伝え、そのうえで気になる点を一つに絞ることです。「私は〜が心配です」と自分を主語にし、事実(数字・日程)→懸念→代わりの案の順に話すと、相手の案を否定するのではなく、より良くするための意見として受け取られやすくなります。最終的に決める人がいる会議なら、「判断はお任せしますが、この点だけ共有させてください」と添えるのも有効です。

会議後に個別で伝えるなら、気をつけること

個別で伝えるなら、「決まる前に」「本人に直接」、そして結論が変わるなら「全員に共有」が条件です。その場では黙っていて、あとから本人のいないところで反対を広げると、「なぜ会議で言わなかったのか」と信頼を損ねます。

栃木県宇都宮市の施設で、「小会議室101」の扉が並ぶ明るい廊下
栃木県宇都宮市の施設で、会議室の扉が並ぶ廊下。会議が終わったあとの短い立ち話で、伝えられることもある
Photo: Miyuki Meinaka / Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0

Googleの研究チームがワークショップで使った事例には、マネージャーがメンバーのアイデアを皆の前で厳しく非難し、さらに本人のいないところで辛らつな批判を繰り広げた結果、その後メンバーからアイデアが出なくなった、という場面が出てきます。人前での強い否定も、陰での批判も、どちらも「意見を言うと損をする」という空気をつくってしまいます。

個別に伝えるタイミングは、会議の当日中か、少なくとも次に何かが決まる前が目安です。発案者本人か進行役に直接伝え、「会議では言いそびれたのですが、〇〇の点が気になっています」と、言いそびれたことも正直に添えると角が立ちにくくなります。話し合いの結果、方針が変わることになったら、その内容は議事録や次の会議で全員に共有してもらいましょう。個別の話で決まったことを全員が知らないままにしておくと、「知らないところで決まった」という不満が残ります。

オンライン会議では、話の途中に割り込みにくいこともあります。たとえばMicrosoft Teamsには「挙手」の機能があり、会話を中断せずに発言したいことを知らせられます。発表者には通知が届き、複数の人が手を挙げたときは、参加者一覧に挙げた順の番号が付きます。その場で口頭で言いにくいときは、チャットで「一点、後ほど確認させてください」と残しておくだけでも、言いそびれを防げます。

意見を言われた側・進行役ができること

進行役や上司は「違う意見を歓迎する」と言葉で示し、反対意見を人前で責めないことが大切です。意見が出ない会議は、「全員が賛成」ではなく「言いにくい」のサインかもしれません。

議題と今日決めることを先に示す、名指しせずに気になる点を聞く、反対意見にはまずお礼を言う、人前で責めたりあとで外したりしない、という進行役・上司のポイント
違う意見が出やすい会議にするために、進行役・上司ができること(Google re:Work、厚生労働省の指針をもとに RONTEN編集部作成)

Googleは、心理的安全性を高めるためにマネージャーができることとして「チームからの意見やアイデアを求める」ことを、チームの構造を明確にする工夫として「ミーティングを開く際には、明確な議題を設定し、リーダーを指名する」ことを挙げています。何を決める会議なのかが最初に分かれば、参加者も「今言うべきか、あとでいいか」を判断しやすくなります。

反対意見への反応には、ルールの面でも注意が必要です。厚生労働省の指針では、職場のパワーハラスメントを「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」の3つの要素をすべて満たすものとしています。客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導は、パワハラには当たりません。

一方で、同じ指針は、パワハラに当たると考えられる例として「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと」や、「自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること」を挙げています。違う意見を言った人を人前で繰り返し威圧したり、仕事から外したりするのは、マナーの問題を超えることがあるということです。こうしたことで困っているときは、社内の相談窓口のほか、各地の労働局などにある「総合労働相談コーナー」でも相談できます(予約不要・無料、面談または電話)。

よくある質問

会議中に上司の案に反対するのは失礼?

失礼ではありません。決まる前に懸念を伝えるのは、むしろ仕事として必要なことです。ただし「案」ではなく「人」を否定しているように聞こえないよう、確認の形で切り出し、代わりの案を添えると受け取られやすくなります。

会議で言いそびれてしまったら?

当日中に発案者か進行役へ個別に伝えましょう。すでに決まったことなら、「次回の議題に入れてもらえませんか」と、全員で話し直す場をつくってもらうのが筋です。

自分の理解不足かもしれないときは?

反対ではなく質問として出すのがおすすめです。「念のため確認させてください」と聞けば、理解不足なら自分が学べますし、前提に誤りがあれば全員が気づけます。

オンライン会議で割り込みにくいときは?

Teamsなどの挙手機能を使うと、会話を中断せずに発言したいことを伝えられます。言いにくい内容なら、チャットに「後ほど確認させてください」と残しておく方法もあります。

根回しはずるい?

事前に関係者の意見を聞いておくことは、会議を短く、決定をスムーズにする工夫でもあります。ただ、会議の外で結論まで決めてしまうと、その場にいない人には理由が見えません。最後は会議で確かめ、結論を全員に共有するのが目安です。

まとめ:判断に関わることはその場で、人に関わることは個別で

会議で違う意見があるときは、その会議で決まることやリスクに関わる意見はその場で、特定の人に向けた指摘は会議後に個別で伝えるのが目安です。その場で言うなら、確認の形で、理由と代わりの案をセットに。個別で言うなら、決まる前に本人へ直接、結論が変わるなら全員に共有する。どちらの伝え方も、「人ではなく案について話す」ことが前提です。

この論点のポイント

  • 意見が割れるのは「全員が同じ情報で決める透明さ」と「相手の面子・場の空気」のどちらを優先するかの違い
  • 目安は「判断に関わることはその場で、人に関わることは個別で」。決まったあとの反対は「覆す」ことになる
  • 個別に伝えるなら決まる前・本人に直接・結論は全員へ。人前での強い否定も、陰での批判も、意見の出ないチームをつくる

あなたなら、会議で違う意見があるとき、その場で伝えますか?それとも会議後に個別で伝えますか?