勤務時間外に届いた急ぎでない連絡は、次の勤務時間に返すのが基本です。返信を義務づける法律はなく、厚生労働省のガイドラインも時間外のメール送付を控えることを長時間労働対策として挙げています。そのうえで、相手が返事を待っていそうな時や翌朝の予定に関わる時は、「確認しました。明日対応します」と一言だけ返すのが、角が立ちにくい中間の選択肢です。
RONTEN編集部の結論
急ぎでなければ勤務時間に。気になるなら一言だけ
- 急ぎでない共有・相談:次の勤務時間に返す
- 翌朝の予定に関わる・相手が待っていそう:「確認しました。明日〇時までに返します」と一言
- 本当に急ぎ(トラブル・当日の変更):職場で決めた電話などの緊急ルートで
- 送る側:「返信は明日で大丈夫です」を添える、予約送信を使う
投票結果ではなく、編集部の整理です。みんなの選択はRONTENの投票ページで確認できます。

Photo: Romain Guy / Wikimedia Commons, CC0 1.0
勤務時間外の連絡に、すぐ返す義務はある?
ありません。勤務時間外の連絡にすぐ返すことを義務づける法律はなく、反対に「つながらない権利」を直接定めた法律も、今の日本にはまだありません。つまり「返すべきか」は法律ではなく、職場のルールと習慣で決まっている部分が大きく、だからこそ人によって答えが分かれます。

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」は、長時間労働を防ぐ方法として、上司や同僚などから時間外・休日・深夜にメールを送ることの自粛や、所定外の時間帯の社内システムへのアクセス制限などを挙げています。また、時間外などのメールに対応しなかったことを理由に不利益な人事評価をすることは、適切な人事評価とはいえない、とも書かれています。テレワークについての指針ですが、「時間外の連絡は控えるのが望ましい」という国の考え方が分かります。
一方で、会社の指示を受けて時間外に対応したなら、その時間は仕事です。厚労省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者の明示または黙示の指示で業務に従事する時間は労働時間に当たる、と定めています。
今後のルールづくりも議論されています。厚労省の労働基準関係法制研究会が2025年1月にまとめた報告書は、勤務時間外にどんな連絡まで許容し、どんな連絡は拒否できるのかについて社内ルールを労使で検討することが必要で、その話し合いを後押しするガイドラインの策定などを検討すべきだとしています。
「次の勤務時間に返す」派と「短く返す」派、何が違う?
次の勤務時間派は「休む時間の線引き」を、短く返す派は「相手を待たせない安心」を大事にしています。どちらも職場への気づかいですが、守ろうとしているものが「自分と相手の休息」なのか「チームの仕事の流れ」なのかが違います。

Photo: Joe Mabel / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0
| 次の勤務時間に返す | 気づいた時に短く返す | |
|---|---|---|
| 大事にしていること | 休む時間の線引き | 相手を待たせない安心感 |
| よくある考え | 「今返すと、時間外も返す人だと思われる」 | 「既読のまま朝まで放っておくのは気が引ける」 |
| 気になる点 | 急ぎの連絡を見落とす心配 | 結局そのまま仕事を始めてしまいがち |
| ひと工夫 | 急ぎの連絡手段を決めておく | 中身は勤務時間に回し、一言で止める |
この論点がこじれやすい理由の一つは、送る側と受ける側で「急ぎ」の感じ方がずれることです。マイナビが2025年12月に行った調査(2025年に転職した20〜50代の正社員1,446人)では、上司に勤務時間外の連絡をする人の60.9%が「緊急度が高いことが多い」と答えた一方、部下から勤務時間外の連絡を受ける人で同じように答えたのは29.9%でした。同じ調査では、社内の人から勤務時間外に業務連絡が来ることがある人は70.0%、勤務時間外の連絡を拒否したいと思う人は64.3%でした。
送る側は「急ぎだから送った」、受ける側は「明日でいいのに」と感じている。このずれがある限り、どちらの派も相手に気づかっているつもりで、すれ違ってしまいます。
場面別に見ると、どう返す?
迷ったら「その連絡は、明日の始業までに何かが変わるか」で決めると選びやすくなります。変わらないなら次の勤務時間に、変わるなら一言だけ、トラブルなら職場で決めた緊急の手段で、と分けると、返す派と返さない派の両方の良さを取り込めます。

| 場面 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 急ぎでない共有・相談 | 次の勤務時間に返す | 明日返しても結果が変わらない |
| 翌朝の会議や集合に関わる | 「確認しました」と一言 | 相手が朝の準備を進められる |
| 相手が返事を待っていそう | 返す時期だけ伝える | 「見ていない」不安を消せる |
| トラブル・当日の変更 | 職場の緊急ルート(電話など) | チャットだと埋もれやすい |
| 取引先・顧客から | 次の営業日に返すのが基本 | 急ぎ対応の約束があればそれに従う |
| 休日・休暇中 | 原則は休み明けに | 急ぎの窓口を休む前に伝えておく |
休みに入る前に「急ぎの件は〇〇さんへ」と伝えておくと、休み中に連絡が来ても返さなくていい理由がはっきりします。返さないことへの罪悪感は、事前の一言でかなり減らせます。
短く返すなら、何をどこまで書く?
短く返すなら、書くのは「受け取ったこと」と「いつ対応するか」の2つだけで十分です。一言返信の役目は中身を片づけることではなく、「止まっていない」と伝えることだからです。中身まで書き始めると、その時点で時間外に仕事を始めたことになり、「この人は夜でも返す」という期待も生まれます。

Photo: tilex / Wikimedia Commons, CC BY 2.0
一言で返す時の例文
「確認しました。明日の午前中に対応します。」
「承知しました。詳細は明日、出社後にご連絡します。」
「ありがとうございます。明日10時までにお返事します。」
チャットのリアクション機能が使える職場なら、「見ました」の合図をリアクションで代える方法もあります。ただし、相手が返事を待っている内容なら、リアクションだけより「いつ対応するか」を一言添える方が誤解がありません。
送る側ができる気づかいは?
送る側が「急ぎかどうか」と「いつまでに返事がほしいか」を書くだけで、受ける側の迷いはほとんど消えます。この論点は受け手のマナーとして語られがちですが、実は送る側が情報を一つ足すだけで解決する場面が多いのです。

メールやビジネスチャットには、日時を指定して送る予約送信の機能があるものもあります。一方で、LINEヘルプセンターによると、LINEには現在メッセージの予約送信機能がありません。仕事の連絡をLINEで送るなら、夜のうちに下書きしておき、翌朝の勤務時間に送るのが確実です。
労働組合の側でも、情報労連が2026年春闘に向けて「つながらない権利」確立のためのガイドラインを策定し、勤務時間外の連絡ルールを労使で決めるよう呼びかけています(労働政策研究・研修機構の報告)。個人の気づかいだけに頼らず、職場で「何が急ぎか」「どの手段で連絡するか」を決めておくことが、いちばん確実な解決策です。
よくある質問
夜に上司から連絡が来て、既読にしてしまったら?
急ぎでない内容なら、翌朝の勤務時間に返して構いません。既読のまま朝まで置くのが気になるなら、「確認しました。明日対応します」と一言だけ返すと、相手も安心できます。
返信しないと評価に響く?
厚労省のテレワークガイドラインは、時間外などのメールに対応しなかったことを理由に不利益な人事評価をすることは、適切な人事評価とはいえないとしています。職場の就業規則や連絡ルールを確認し、困った時は都道府県労働局などの総合労働相談コーナーに相談できます。
時間外に返信や作業をした時間は、残業になる?
会社の明示または黙示の指示で業務をした時間は労働時間に当たる、というのが厚労省ガイドラインの考え方です。実際の申告方法は職場の勤怠ルールに沿って、上司に確認しておきましょう。
取引先から夜に連絡が来たら?
次の営業日に返すのが基本です。夜間対応を約束している契約や職場の取り決めがある場合は、それに従いましょう。
自分が夜に思い出した用件は、いつ送ればいい?
忘れないうちに下書きし、相手の勤務時間に送るのが無難です。どうしても今送るなら「返信は明日で大丈夫です」と添えましょう。
まとめ:急ぎでなければ勤務時間に、気になるなら一言だけ
勤務時間外の連絡は、急ぎでなければ次の勤務時間に返すのが基本です。返信を義務づける法律はなく、国のガイドラインも時間外の連絡を控える方向です。それでも気になる時は「確認しました。明日対応します」の一言で止める。送る側は「急ぎかどうか」を書き添える。この3つで、返す派と返さない派のすれ違いはかなり防げます。
この論点のポイント
- 法律に返信の義務はなく、答えを決めているのは職場のルールと習慣
- 意見が割れるのは「休む時間の線引き」と「相手を待たせない安心」のどちらを優先するかの違い
- 送る側と受ける側で「急ぎ」の感じ方がずれる。送る側が急ぎかどうかを書けば、迷いの多くは消える
あなたなら、勤務時間外に届いた急ぎでない連絡、次の勤務時間に返しますか?それとも気づいた時に短く返しますか?
参考にした公式情報(2026年10月5日確認)
- 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
- 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」パンフレット(PDF)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(PDF)
- 厚生労働省「『労働基準関係法制研究会』の報告書を公表します」(2025年1月8日)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- マイナビキャリアリサーチLab「つながらない権利をめぐる個人の本音と企業の実態調査」(2026年2月16日)
- 労働政策研究・研修機構「時間外の連絡ルールの制定・協定化や創造性を高める環境整備を春闘要求に掲示」(ビジネス・レーバー・トレンド2026年4月号)
- LINEヘルプセンター「メッセージを送信⋅転送⋅コピー⋅編集するには?」